「自利」、「利他」という言葉があります。
広辞苑によると、「自利」は「自分の利益」を指し、「利他」は「自分を犠牲にして他人に利益を与えること。他人の幸福を願うこと」とあります。「自利」は文字通り自分の利益でありますので、言い換えれば「個人の幸福」と同義ではないかと考えられます。
一方「利他」は、人さまの役に立つこと、親切な行動であるなど、一般的に美しいとされる行動です。「利他の精神」という言葉がありますが、この利他とは、自利との「対立概念」ではなく、自利と「表裏一体」ではないかと考えます。
利他には「相手に喜んでほしい」という私の思い (=自利) が含まれており、そこにある種の「押し付け」や「見返り」が存在する場合が多いのではないでしょうか。利他と考えている多くの行動は、本当に相手のためになっているのでしょうか。実は、自分のためになっているのではないでしょうか。また、利他には社会との関係の中では、限界があるのではないでしょうか。
例えば、社会性や協調を重視することで、過度の自己犠牲によって疲弊し、結果としてモチベーションやエネルギーを失うことは、自分自身にとって、社会全体にとって良いことなのでしょうか。