知識によって生活は便利になり、人の能力も拡張されます。メガネや望遠 鏡は人間の視力を拡張するものですし、車や飛行機は移動能力を拡張します。センサーは人間の感覚を拡張するものだと言えます。人類の富は、より少ない人数でより多くの生産を可能にした技術の蓄積だと言えます。
先史時代に遡ると、自然界にある素朴な石や火を道具にしたことが最も古い技術の形態です。約20000年前に起こった農業革命の結果、狩猟と農業が分化し、一時的に消費しきれないものを所有するという概念が発達しました。紀元前4000 年頃には車輪が発明され、風車や水車に転用されることで、人力以外のエネルギーの利用が始まりました。紀元後には、ローマなどをはじめとして、水道橋、共同住宅や図書館などの建築が発達しました。イギリスで18世紀に起こった産業革命では、機械の大規模化で生産性が著しく向上し、一人当たりの GDP が飛躍的に成長しました。労働者が工場に出勤するようになり、時間の概念が人々の生活に入り込むようになりました。現在の情報革命では、工業主導の社会から高度情報化社会に、社会の形が変化しています。